墨石奇譚

固定しておきたいことを書きます

音楽業界内の陰謀論への不安と『月刊サイゾー』7・8月号『 "Qアノン"化するミュージシャンと陰謀論 』感想

  • 音楽フェスそして音楽業界の陰謀論への不安

 もう少しでFUJI ROCK FESTIVAL(以降フジロック)。

 複雑だが配信が気になっている。

 やたら複雑な思いを抱いているのは何故か、フジロックがコロナ禍以降の有観客ライブとしてはかなり大規模なものになるというのもあるがそことは別に新型コロナウイルス絡みの陰謀論を拡散してるアーティストがいるということだ。


墨石零斗 on Twitter: "音楽フェスは何気に「コロナ禍は嘘」系の陰謀論を信じてたり、「コロナ禍はたいしたことない」と思ってるアーティストやそれに影響されたファンへの対策が重要"

 「陰謀論にハマっているわけではないがコロナ禍を軽んじるアーティスト」は陰謀論の話題とはズレるがファンやイベントとの関係で似たような懸念を抱えてはいる。

  「新型コロナウイルスが虚構のものである」というような陰謀論にハマったアーティストは確実に有観客の音楽フェスにおいて重大な問題である。

 アーティストが陰謀論者だからといってファン全体がそういうわけではないが、影響されているファンがそれなりにいる。

   正直に言うと自分も傾倒しているアーティストがそういう感じの陰謀論にハマっていてファンの反応としては陰謀論に疑問を持つファンと陰謀論を肯定し追従するファンに別れている。

  立場上アーティストが運営の指示に従って感染対策をしたとしても陰謀論に影響を受けた観客の行動が不安なのである。

『月刊サイゾー』7・8月号『 "Qアノン"化するミュージシャンと陰謀論 』 感想

 このようなミュージシャン、アーティストと陰謀論との関係を取り上げたのが

 『月刊サイゾー』7・8月号『 "Qアノン"化するミュージシャンと陰謀論

である。


墨石零斗 on Twitter: "『月刊サイゾー』の『 "Qアノン"化するミュージシャンと陰謀論 』読了 「Qアノン化した(?)ミュージシャン一覧」とかそれなりに情報を追っているにとってはおなじみの情報ではあるがQアノンが匿名掲示板やSNSを通して広まった背景がわかりやすくまとめられていた。"

  Qアノン絡みのニュースを注視している、Qアノン絡みの陰謀論にハマったアーティストが気になっていた人が読むと物足りなさを感じるかもしれない、Qアノンになったアーティストとして取り上げられていたのは割とよく話題に上がっていたアーティストである。

  たが、代替現実ゲームという概念やQアノン以外の陰謀論でアーティストが標的になったもの(生存説や死亡説、クローン説や悪魔崇拝者説など)、オカルトとの関係性という点で捉えたのは興味深かった。

  ただ「アートやカルチャーとの相性が悪い」「Qアノンはトランプと共にあり、トランプと共に終わった」というのには疑問がある。

 前者は陰謀論をストレートに想起させる歌詞を組み込んでいたり、アーティストとしての世界観に昇華させそれが一定の評価を得られたりする、後者は反ワクチン・ノーマスクといった「新型コロナウイルスは存在しない」という要素が受け継がれた陰謀論が蔓延している。 陰謀論を軽く考え過ぎではないか。

 書評はここまでとして最後に、Twitterなどで荒唐無稽な陰謀論を茶化す人が多いのだがそれは陰謀論を信じてしまう不安や焦りを無視するような行為であり余計、事態を悪化させるようになるのではないかと思う。


墨石零斗 on Twitter: "SCP財団陰謀論説を笑い飛ばせる人のだいたいはQアノンとかの陰謀論絡みのニュースを追っていないのではと思います… "

2021/08/20 追記

 出演アーティストのサポートドラマーが「当日、検査して陽性でも体調が悪くなければ出演する」みたいなことツイートしていました(今は削除されたされている)こういう感じだから不安なんだよ.........

 その人がサポートするアーティストが重症化リスクが高い高齢者だし(コロナは嘘系の陰謀論にハマったとはいえ)、直接的な関わりが無いとはいえ未成年者も出演するのに(最年少は小学生)

 「重症化するリスクが高いもしくは未成年者はリモート出演で良かったんじゃね」と今でも思っています。

 今回の追記の最後にひと言

 イベント中止でも医療従事者を憎むな、政府になんか言え、補償してくれ、ワクチンくれ。

 

フランケンシュタインの誘惑「愛と絶望の心理学実験」感想

フランケンシュタインの誘惑』新シリーズは今回でひと段落だそうで、寂しい気持ちもありますが来月からのセレクション放送を見て新作に備えようと思います。

 NHKに新作希望のメッセージも忘れずに送ろう!!!!!

フランケンシュタインの誘惑』は

 本放送はBSプレミアム毎月最終木曜夜9時~

 再放送は本放送の翌火曜日夜11時45分~

 気になった方ぜひ視聴してください

 番組では人を実験対象とした倫理的に問題がある実験が取り上げてられていましたが今回は人ではない動物を対象とした残酷な実験がテーマ。

 愛を科学的に証明したハリー・ハーロウの話だ。

 子ザルを実験対象とし「代理母」という装置を用いて行われた実験でスキンシップと愛情の関係性を示した。

 文学的な素養が影響を与えた論文のタイトル『愛の本質』、実験の視覚的なわかりやすさキャッチーさが注目を呼び世間でも注目されるようになった。

↑ハリー・ハーロウの生涯について書かれた本、「代理母実験」に用いられた布製の代理母と子ザルが表紙になっている

 そして、虐待を受けた子どもの心理についても子ザルを実験対象にして証明し大きな影響を与えた。

 一方で人工的に子ザルを虐待されたのと同じ状況に置く実験の残酷さ、倫理的問題は否めない。

 心理学に残した大きな功績もたらし、心理学者としての権威を持ったハーロウに研究者が指摘できなかったのも問題だ。

 ハーロウの研究以前では人間であるか否かで感情への扱いが大きく変わってしまうというのはだいぶおかしな話ではあるが、そう認識されていた時代でもハーロウが子ザルに感情があると認識していたことは確かだ。

 人間が対象となる実験だけではなく人以外の動物にも配慮が必要なことは確かだ。

 本エピソードは放送以外にもU-NEXTやAmazonプライムビデオなどの専門チャンネル NHKオンデマンドの月額990円サブスクコンテンツのひとつとして、または単品レンタルで視聴できます。(放送後2週間までなので注意)

フランケンシュタインの誘惑「夢のエネルギー “常温核融合”事件」 感想とその他ちょこっと

 今回は常温核融合を巡るスキャンダルの話

前回の野口英世が研究不正ギリギリだったのですが今回は一線を超えてしまった科学者の話です。

 番組公式サイトはこちらのリンクから

「夢のエネルギー “常温核融合”事件」 - フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 - NHK


「夢のエネルギー “常温核融合”事件」 - フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 - NHK

前回の記事はこちらのリンクから


「科学者 野口英世」(フランケンシュタインの誘惑 新シリーズ第3回) 感想 - 墨石奇譚

 現在では信じられないほど、半世紀前の原子力への期待は高く、多くの研究機関、研究者が常温核融合の研究に関わった。

 そういえばスーパー戦隊第2作『ジャッカー電撃隊』(1977年)でも全部で5人いる戦士のうち2人が原子力をエネルギー源にする戦士だったとかこのあたりの時代は多かれ少なかれ原子力への期待がフィクションにも反映されていますね。

 番組でもガンダムが例にあげられていました。

  過去のニュース映像にも原子力への期待が伺える今では考えられない状況に時代を感じました。

 「夢のエネルギー」を巡る研究者同士の競争は苛烈になっていき、その結果が研究不正を引き起こすことになるとは残念でしかない。

  存命の関係者が語る内容が生々しかった。

  研究費の不足や研究打ち切りから逃れるために科学者として許されない研究不正をしてしまうのは現在も他人事ではない。

フランケンシュタインの誘惑』は

 本放送はBSプレミアム毎月最終木曜夜9時~

BS 4K BSプレミアムの放送翌 日曜夜8時45分〜

 再放送は本放送の翌火曜日夜11時45分~

 気になった方ぜひ視聴してください

 この番組が良かったと思ったらNHKにメッセージを送って貰えると嬉しいです。

 ここまで『フランケンシュタインの誘惑』感想でした、ちょっと続きます。

 まず『フランケンシュタインの誘惑』でナレーション・ナビゲーターを担当されている吉川晃司さんが狭心症の手術を受けていた件。

 ショッキングなニュースでしたが、手術が無事終わったと聞いて安心しました。

 吉川さんのアクションとかすごいなと思ってたけど心肺能力が高すぎた結果なかなか異常が見つからなかったってどういうことなの..........?

  最後に吉川晃司さんナレーション繋がりで『ETV特集』の再放送の話題です

選「誰が命を救うのか 医師たちの原発事故」 - NHK https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP

 震災当時は自分は小学生だったがそれでもニュース映像は衝撃的で記憶に残っている。当時のニュースには無かった当番組の医療従事者の過酷さを伺える、映像や音声は凄まじいものだった。

 番組自体は新型コロナウイルス流行前のものの再放送とはいえ災害時の医療も新型コロナウイルスによる影響でより予測がつきにくいなってしまうのだろうという目線にもなりました

「科学者 野口英世」(フランケンシュタインの誘惑 新シリーズ第3回) 感想

今回の『フランケンシュタインの誘惑』は野口英世特集です。

 多くの人の子どものころに伝記とかで知った印象と全然違うことにショックを受ける歴史上の人物ランキング上位に入る人物だろう。

 個人的1位はトーマス・エジソンです。理由はニコラ・テスラの交流電流に直流電流のシェアを奪われないためのネガティブキャンペーンで死刑制度に反対の立場を撮ってたのに交流電流を用いた電気椅子を死刑に利用することを提案したことです。

 この辺のことは『フランケンシュタインの誘惑』のニコラ・テスラ回でも取り上げられているのでよかったら見てください 。

 

  話を野口英世に戻します。

  上昇志向によって研究者としての地位を確立していったはずだった研究不正とまではいかないもののかなり無理のある研究の進め方によって得られるはずの成功を手放してしまったかもしれないという皮肉。

 再現性のない研究ばかりになってしまった業績だけを見ると紙幣の顔となるには不十分であった。

 イギリスで2021年末までに流通が始まる50ポンド札に採用されたアラン・チューリングや日本で2024年度からの1000円札に採用された北里柴三郎と比較すれば一目瞭然である。

 (アラン・チューリングを取り上げた回もフランケンシュタインの誘惑にあるのでぜひ見てください)

  だが農家の出自から国際的に活動する研究者となった背景には惹かれるものがある。

 野口英世の伝記を作成するにあたって 野口英世のことを聞かれた研究者が「安らかに眠らせてあげましょう」と答えたことは象徴的だった。

フランケンシュタインの誘惑』は

 本放送はBSプレミアム毎月最終木曜夜9時~

BS 4K BSプレミアムの放送翌 日曜夜8時45分〜

 再放送は本放送の翌火曜日夜11時45分~

 気になった方ぜひ視聴してください

 この番組が良かったと思ったらNHKにメッセージを送って貰えると嬉しいです。

『フランケンシュタインの誘惑』新シリーズ第2回感想

フランケンシュタインの誘惑』新シリーズ第2回「ナチスアスペルガーの子どもたち」が放送された。

番組の前回とOPの感想は下記リンクから

reito000.hatenablog.com

 今回は自閉スペクトラム症 (ASD)に含まれるアスペルガー症候群*1、その名称の由来となった医師ハンス・アスペルガーを取り上げる。

 かつては障害を持つ子どもたちをナチス・ドイツから守ったと考えられていたハンス・アスペルガー。だがナチス・ドイツとの関係を裏付ける資料が発見され評価は一変した。

 「教育不可能」と言われた子どもたちと向き合い慕われたハンス・アスペルガーナチス・ドイツの優生思想、全体主義に魅入られていく様子。

 「安楽死」という言葉を建前にした殺処分を平然と行うようになっていくのが恐ろしかった。

 またスタジオでの対談パートに出演した研究者の指摘の通り子どもたちが「教育不可能」というレッテルをはられることや優生思想によって行われる殺人事件といった現在も続いているのも事実である。

  余談だが「ナチス・ドイツに協力した科学者だけでスペシャル番組できそう」とツイートしたところ番組プロデューサーの北村卓三さんが「ありがとうございます!それ計画中です-」とのリプライを頂いた。(リプライありがとうございました)

フランケンシュタインの誘惑』は

 本放送はBSプレミアム毎月最終木曜夜9時~

BS 4K BSプレミアムの放送翌 日曜夜8時45分〜

 再放送は本放送の翌火曜日夜11時45分~

 気になった方ぜひ視聴してください

 この番組が良かったと思ったらNHKにメッセージを送って貰えると嬉しいです。

 

 

 

*1:アメリカ精神医学会の診断基準ではアスペルガー症候群肺炎自閉スペクトラム症に統合されている

『フランケンシュタインの誘惑』の吉川晃司さん書き下ろしOPがかっこよすぎる件と新シーズン第1回感想

フランケンシュタインの誘惑』ファン待望の新シーズンが10月31日から放送開始されオープニングも新しくなっていました。

  以前のBSプレミアム版でのオープニングには『Final Shore~おお、再臨ありやと』が使用されていました。菅野よう子さん作曲で元は『∀ガンダム』の曲です。

 新オープニングは番組のナビゲーター・ナレーターでもある吉川晃司さん作曲『BLOODY BLACK』です。

 BSプレミアムで放送された内容を再編集しEテレで放送された『フランケンシュタインの誘惑E+』でのオープニングに歌詞をつけたものとなっています。

 

 BLOODY BLACK

BLOODY BLACK

BLOODY BLACK

  • 吉川晃司
  • ロック
  • ¥255

 インストだった『E+』の頃からかっこいい曲であるがボーカルが加わるによってさらに魅力が増している。

 むっちゃ興奮する 脳内から快楽物資が分泌される感じ。

  曲の与える危うさそしてそれによって起きる高揚感は「科学は、誘惑する。」番組を象徴するフレーズがよぎり、番組タイトルの元ネタである青年科学者フランケンシュタイン、そして番組で取り上げられた科学者たちを想起させる。

  『BLOODY BLACK』は配信限定シングルとしてリリースされているいるのでぜひ聞いてください。

 

 一段落したので番組の感想を。

今回は「ノーベル賞 爆薬王の遺言」

 番組で取り上げられた科学者にも数多くの受賞者がいるノーベル賞の提唱者にしてダイナマイトを開発した科学者、ダイナマイトなどの発明で莫大な資産を得た実業家であるアルフレッド・ノーベルの生涯を取り上げる。

  毒ガスの処理や建築物の爆破解体などの平和利用で生活を我々の生活を支える一方で軍事利用され多くの命を奪ったダイナマイトの二面性がノーベルへの評価と重なる。

 商品を売るためとはいえ暴発の危険性がある爆薬を持ち歩けるのは、安全に使用できる爆薬を発明した科学者としての自信に溢れた行為とも言える。

  遺言によって設立された科学者として人間の生活を発明をし、ノーベル賞は抑止力がもたらす平和を信じ、文学青年でもあったノーベルの生涯が現れている。

 

フランケンシュタインの誘惑』は

 本放送はBSプレミアム毎月最終木曜夜9時~

BS 4K BSプレミアムの放送翌 日曜夜8時45分〜

 再放送は本放送の翌火曜日夜11時45分~

 こちらもぜひ視聴してください

 

がんばれいわロボコンを4Dで見ようか迷っている人へ

もう少しで上映終了の劇場も多い『がんばれいわ!!ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』(以下がんばれいわ!!ロボコン)4DXで見てきた自分が4DXで見た感想を書きます。

 

ペットントン』『美少女仮面ポワトリン』などの不思議コメディーシリーズや『激走戦隊カーレンジャー』で知られる浦沢義雄さんの脚本に仮面ライダーシリーズやメタルヒーローシリーズ、『燃えろ!!ロボコン』の石田秀範監督がメガホンを撮ったということで期待をしていましたが期待を超えるカオスでした。

 タイトルにもある通り汁なしタンタン麺が恋をする話なんですけどモノが特に理由がなく意思を持つのは浦沢脚本でよくある展開ではありますが

  「予算の多くを編集につぎ込んでいるのでは?」

と思う力の入れ具合がカオスさを増強していました。

  上映前に流れた『荒野のコトブキ飛行隊』予告編の4DXがなかなかのインパクトだったためそれを越えられるか不安ではありましたが4Dや映像の演出は「そうくるか」の連続でとても楽しいハチャメチャな感じがとてもよかったです。

 また予想ができない4D演出は浦沢ワールドの一つになれた感覚がして好きですね。

 これを逃したら『がんばれいわ!!!ロボコン』   浦沢ワールドと一体化できる機会は無いのではと考えると貴重な体験になりました。

『スプリンパン まえへすすもう!』と『人体のサバイバル』を見てるときはアトラクションみたいな感覚でした。4Dと相性がピッタリなコンテンツの組み合わせでしたね。

 4Dで見るべきか迷ってる人にはぜひ4Dでぜひ見てほしいですね。